ウェザーマーチャンダイジングの企画営業を多くしていた時期がありました。
小売店では、気象情報によって売れ筋商品が異なるので、日々の気象予報を基に商品受発注の戦略に活用するものなのですが、
- 気温が上がる
「焼きそば」が売れるから多めに発注しよう - 気温が下がる
「焼きそば」が売れなくなるから発注は抑えよう
のような使い方として気象情報を利用します。
このときポイントになるのが、ロスという概念であり、
- 機会ロス
気温が上がって「焼きそば」が食べたいと思うお客が増えたのに、お店には「焼きそば」が品切れだった
- 廃棄ロス
思ったほど商品が売れなくて、在庫が余り、廃棄しなければいけなくなった
このようにロスには2種類の考え方があります。
前者の機会ロスは、品切れ状態に陥ることで、本当は得ることができた売上が損失してしまい、売上を伸ばすることができなくなります。
一方の廃棄ロスは、商品在庫が余ってしまうことで、経費にダイレクトに響いてきます。
インターネット広告に置き換えるロスという概念
前置きが少し長くなりましたが、広告主視点によるマーケティングの効率化という観点から、インターネット広告をロスという概念に置き換えてみると、このようになると考えます。
- 機会ロス
興味があるユーザー(潜在客や見込客)に対して広告を訴求できていない
- 廃棄ロス
興味が全くないユーザーに対して、無駄に広告を訴求している
ウェザーマーチャンダイジングによる小売店の場合には、廃棄ロスを抑える一方で、抑えすぎると客離れに直結してしまうので、その按配が大事になるわけですが、インターネット広告の場合、機会ロスに長けた商品・・・といった具合に、効果の片寄りが発生する商品も存在するのが特徴的です。
インターネット広告別にみるマーケティングの効率化
機会ロスと廃棄ロスを軸に、主要のインターネット広告を載せてみるとこんな感じになりました。

- リスティング広告(検索連動型)
機会ロスと廃棄ロスの両軸の軽減に効果的な広告の位置づけと考えます。
- 機会ロスの軽減
キーワードを入れて検索するユーザーは、対象キーワードに対して潜在的な需要を持っていると考えらるので、受動的に機会を得ることができます。
- 廃棄ロスの軽減
キーワード単位で購入できる広告手法は、理論的に需要がないユーザーには広告を出すことがなくなりますので、無駄な広告費を削減できます
- 行動ターゲティング
主観が入ってしまいますが、CVRの向上は媒体側の特徴にも依存されると思うので、どちらかというと廃棄ロスの軽減に長けた広告商品ではないかと思い、図ではこの位置づけとしました。
- リターゲティング
マーケティング的には、潜在顧客から見込み客に昇格したユーザーをフォローしていく商品であり、CVRは最も高い商品になると思いますが、受動的に訴求できるリスティングに比べると、効率にやや劣る感がありましたので、機会ロスの軽減とうい側面では、リスティングより下に位置づけました。
- コンテンツマッチ
名称どおりで、マッチ率に大きく依存してしまいますが、バランスが取れた商品という主観を持ちました。
- ノンターゲティング
例えばヤフーのブランドパネルに出稿したら、多数の潜在顧客に訴求できる一方で、廃棄ロスも大きくなります。商品の種類やスケール感によって効果が得られる広告商品かと思います。
最後に雑感
最近私は、不動産をネットで調べる機会が多くあったのですが、気がつくとヤフーをはじめ様々なサイトで、不動産広告が私を追いかけ続けていました。広告主にとっては潜在客(と見なされたのでしょう)に何度も広告を届けることで、有意義に広告費を使うことができ、且つ不動産に興味のないユーザーに広告費を費やし続ける無駄も省けたわけです。更には無駄を省いたことによる余剰資金やリソースを、新たな商品開発に投資できる可能性まで出てくるかもしれません。
一方でユーザー視点では、見ても仕方ない広告(例えば私にとっては女性向け化粧品など)を何度も見せられ続けないで済むという利点もあります。
このようにターゲティング広告の良いところはたくさんありますので、一部のcookieや倫理的な問題を早くクリアして、インターネット広告市場の発展に・・・・・・?! 最後にひとつ懸念がありました。パフォーマンス(CVR)がどんどん向上して、無駄な広告を訴求する機会が軒並みに減っていったら、廃棄ロスでの収入比率が大きい広告市場は、ウェザーマーチャンダイジングのように縮小に向かってしまうのだろうか・・・。
